海底の王国〈外伝〉

「…法王が国民を見捨てて逃げた事は、すでに国民の耳に入っているよ…そうなるとロラン様の立場が、微妙になるのは仕方がないね…」

レンリが、フレイヤにそっと耳打ちした。
ロランは、やれやれと冷ややかな視線に、たえるより仕方がなかった…

「なるほどね…」

その時、再び大地が大きくゆれはじめた。

″…ズッ…ズッ…″と音を立てて大地が沈んで行くのが、怖いぐらいにハッキリと分かった。
辺りから悲鳴や不安の声が上がり、全員、地面にしゃがみ込んだ。

「〜どうする気〜？！レンリ〜？！」
「これ、これ〜これ見て〜」

「何で今、レンリの愛読書を見せられなきゃいけないのよ〜？！」

ゆれながら、フレイヤとレンリは会話をつづけた。

「超古代の魔法書でしょ〜？」

「そう、これによるとね〜人は昔、海に住んでいました〜っていうんだよね〜」

「伝説でしょ〜？おとぎ話〜」

「まぁ聞いてよ〜その記述の中にね、陸に上がった人々が海に戻るには、解除呪文が必要なんだって〜」