海底の王国〈外伝〉
「…その呪文は、本物じゃよ…」
「じゃあ、ライク殿が適任ですね」

フレイヤは、ライクの登場にホッとした。

「ほっほっほ…すまんのーお嬢さん…わしの魔力は、もうなくなってしまったようじゃわい…」

ライクがそう言うと、″ゴーーーーッ″という大地に響く音を立てて、遠くから何かが近づいて来た…

「…まさか…津波?」

音だけ聞いて、フレイヤは青ざめた。

今まさに、この国は海へ沈みつづけているのだ…
まだ岩山の上に避難出来ていない人たちがいる中、自然は容赦なく人々を海の底へ飲み込もうとしていた…

「もう、やるっきゃないわよ、フレイヤ!あなたなら出来るわ!!」

ミカサが、フレイヤの肩をたたいた。

「ええ…?」
「分かった…僕も一緒にやるから…」

レンリも、フレイヤの肩をたたくと言った。

「…我々も、およばずながら…」

手の空いていた魔法士たちが、いつの間にかフレイヤたちの周りに集まって来ていた。
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