せんせい

「でも、諦めるわけにはいかない…!!」

そのまま寝転びかけた昌子が握りこぶし片手にすっくと立ち上がる。

そう。
今年の昌子は、違う。
どうあっても、イカした感想文を書き上げたかった。その理由は…


「この機会にすごいの書いて、森先生をぎゃふんと言わせてやるんだから…!」


中学校唯一の若手国語教師:森におネツを上げているからである。(ちなみに森のファーストネームは進一である。)

朝陽よりは夕陽の似合う、どこか翳りのある男教師:森進一は昌子にとって突き崩せない壁のような存在であった。
廊下で挨拶をしてもまともに目を合わせてはくれない。授業中がんばって質問をしても昌子の名前を覚えてくれない。繰り返されるつれない態度に、淡い恋心は募る一方だった。



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