上司と上手につきあう方法【完結】
「――」
朝陽はそんな私の演技を見て、軽く目を細め、薄く微笑みを浮かべる。
何もかもわかっていると言わんばかりのその笑顔に、胸の奥がざらっと逆なでられるような気がした。
普段は雄弁なくせして、ここぞというときに何も言わない。
人はそれを見て、好き勝手に想像するんだ。
朝陽はそういうことをわかっててやってる。本当にズルイ男だと思う。
そして私も――
逃げていてばかりの、弱い女だ。
「ねえ、本当に山本君って学生の頃サークルで一緒だったの?」
追いかけてきた紗江子に尋ねられて、私はバスに乗り込みつつ、こっくりとうなずく。
「いろいろあったのね?」
「――何も言いたくないから聞かないで」