上司と上手につきあう方法【完結】

もったいぶっているつもりはない。みっともない過去を今さら口にしたくない。
ただそれだけだった。


そんな私のつっけんどんな態度に、紗江子は何かを――おそらく正解に近い何かを察したに違いない。

「了解」とだけ言って、窓際の席に腰を下ろす。


過去をなかったことに出来ないことは百も承知だけれど、イヤな記憶はきれいに消せたらいいのにと、本気で思わずにはいられなかった。



バスの中には半分くらいの社員が戻ってきていた。


座席に座ると同時に、

「平尾さん、佐藤さん、久しぶりだね。元気にしてるかい?」

通路を挟んだ向こう側から、塩田さんがにこやかに話しかけてくる。



「あ、ご挨拶が遅れてすみません!」



慌てたように紗江子と私は腰を浮かせ、彼に会釈をした。


< 126 / 361 >

この作品をシェア

pagetop