上司と上手につきあう方法【完結】
朝陽はいつだって、人を煽るだけ煽って、火をつける人。
けれどこちらが抜き差しならないほどはまってしまうと、突然知らぬ顔をする――。
勝手に好きになった自分の感情くらい、自分でけじめをつけろと言わんばかりに、冷たくあしらわれたのは私だけじゃないはずだ。
そう思った私は、けっこうキツイ口調で言い放っていたのだけれど――。
「――あら……けっこうキツイこと言うわね。なんだか珍しい」
隣で話に耳を傾けていた紗江子が私の発言に苦笑する。
もちろんそれはただの感想で、意地悪な感じはまったくしなかったのだけれど。その瞬間、瞬間湯沸かし器のようにカッカと血が上っていたはずの頭が、一瞬で冷めてしまった。
自業自得って……。
確かに彼女の言うとおり、虚勢を張るついでに、自分のいやな部分を露呈させてしまっていたかも……。