上司と上手につきあう方法【完結】
お風呂上りのすっぴんで、皆が集まる大広間に行けるはずがないから、支度の時間を余分に取らなければならない。
部屋に戻り、お風呂セットを持った私たちは、大浴場へと向かう。
「男の人はいいですよね、お風呂上りに、ナチュラルメイクに見える手の込んだメイクなんかしなくていいんですもん」
「かと言ってすっぴんになる勇気はないしねえ……お面していきたいわ」
「美琴、お面してたらお酒も飲めないわよ」
三人でブーブーと唇を尖らせながらエレベーターのドアを押すと――
なんと中に、朝陽と、彼の同僚のSEさんたちが浴衣姿で立っていた。
「あ」
私を見て目を丸くする朝陽。
大きな体は浴衣に包まれていて、髪はしっとりと濡れている。
どうやら私たちと行き違いで部屋に戻るところらしい。