上司と上手につきあう方法【完結】
「危ないだろう!」
鬼気迫る、というのはこういうことを言うんだろうか。
走って来たのか、部長らしく、きちんと着ていたはずの浴衣も派手にはだけて、らしくない。
「そうですよっ、馬鹿ですよ、だけど辞める部長に関係ないでしょっ……!」
「お前……」
「もう、ほっといて……!」
「――」
私の言葉に、ほんの少し悲しげな顔をする彼。
……うそだ。私は彼なら、部長なら、追いかけてきてくれると、どこかで考えていたはずだ。
彼はこう見えて、優しい人だから――
きっと追いかけてきてくれるって、わかってた。
そしてそれがただの優しさからくることだってことも……。
私の顔をジッと見つめたまま、一瞬何かを言おうとしたけれど、結局、唇を引き結ぶ部長。
ああ、きっと彼は何もかもお見通しなんだって、その瞬間、悲しいくらい理解してしまった。