上司と上手につきあう方法【完結】
心が揺れる。
確かに彼の言うとおり、朝陽なら私を上手に慰めてくれるだろう。
大きな彼の体に抱き寄せて、腕の中に閉じ込めて
彼のあたたかい心臓の音を聞かせてくれるだろう。
朝陽はそういう甘やかし方がとても上手な男だってことは、わかってる。
だけど――
「ううん、やめとく……」
私は首を左右に振り、そのまま自分の足で立ち上がった。
まだ足はふらついたけれど、しっかりと力を入れると、背筋も伸びた。
大丈夫だ。私は自分の足で立てる。
「朝陽に寄り掛かったら、いっときは楽な気持ちになれるかもしれないけど……。またきっと辛くなるから」
「……やっぱり俺じゃ、ダメ? チャンスはない?」