上司と上手につきあう方法【完結】
グルグルと無駄な思考を駆け巡らせていたその瞬間。
ふわっと、何かが唇に触れた。
それはとても柔らかくて、熱くて、でも、なんだかおいしくて。
ん……?
パチッと目を開けると、部長の顔が、至近距離にあった。
「――お前の言葉には、説得力がない」
部長のささやくような言葉が、私の唇の上で踊る。
唇にふれたやわらかいものは、どうやら部長の唇、だったらしい。
いや、今も。驚くべきことに、部長の唇は、触れるか触れないかギリギリの、私の唇のすぐ上にある。
私が一ミリでも顔を動かせば、重なる距離だ。
ほんの少し頬を傾けたままの部長は、じいっと熱っぽく私を見つめつつも、相変わらず怒っているように見えた。