上司と上手につきあう方法【完結】
「危ないだろ……」
膝をついたまま、部長が私ににじり寄ってきて、頭の後ろに手をやる。
その距離に思わず体がすくんだのだけれど、彼の大きな手は私の頭の後ろにあった丸い目覚まし時計をつかみ、ぶつからないよう、それをずらして置く。
そしてホッとしたように、私の頬の上に手を置いた。
頬を撫でた後は、髪をすき、後頭部へと手を移動させて、打ち付けたあたりをヨシヨシ、と撫でる。
「大丈夫か?」
「は、はい……」
それっきり、シン、と静まり返る寝室。カーテン越しに太陽の光は入ってくるけれど、部屋は薄暗いままだ。
とりあえず痛みはすぐに引いたのだけれど、部長の長いまつ毛に縁どられた瞳に見つめられて、全身が金縛りにあったように動けなくなっていた。
指一本動かせないまま硬直した私は、ただ、部長が私に触れる指先の感触を、ぼーっと熱に浮かされたように、感じているだけで……。