上司と上手につきあう方法【完結】
「部長、失礼します。非常事態ということで、財布見せてください」
免許証でもあれば、住所がわかるはずだ。
ぐったりと上半身を丸めて目を閉じる彼の隣に座り、スーツの上着に手を入れる。
端整な顔が近づいてドキッとしたけど、部長はうとうとと目を閉じているので、なんとか財布を抜き出し、中身を見ることが出来た。
皮のよく使いこまれた財布はつやつやと輝いていて、シンプルで彼らしい。
そして免許証はなかったけれど、宅急便の控えを発見した。
送り主は部長だ。ちゃんとマンション名も部屋番号も書いてある。
ホッとしつつ、住所とマンション名を携帯で検索すれば、今自分たちがいる公園の目の前だった。
「あそこかぁ……よしっ」
気合いを入れて、部長の肩の下に体を入れ、立ち上がる。
――――……