上司と上手につきあう方法【完結】
「お邪魔しますっ!」
どうにかこうにか部長を部屋の前まで運んだ私。
(この様子を、住人に見られたら部長がご近所さんに変な目で見られるかもしれないとヒヤヒヤしたけど、誰にも会わなかった)
部下が上司のプライベートにここまで踏み込んで大丈夫なのかって思ったけど、自分で鍵も開けられない状態の部長なんだから、これは不可抗力だと、自分に言い聞かせてパンプスを脱ぎ、彼をリビングのソファーへと運ぶ。
部屋の電気をつけて見回してみれば、1LDKのなかなか住み心地がよさそうな部屋だった。
案の定というか、まったく散らかっておらず、シンプルモダンな家具で統一されている。
私の何倍も働いている部長。
いつ掃除してるんだろう……。
不思議に思いながら、コップに水をそそぎ、ソファーに横たわっている部長のもとに運ぶ。
「部長、飲んでください」
「ん……」