上司と上手につきあう方法【完結】

派手じゃない。どちらかというと、静かで端整なのに、こんなに悲しい色気のある男がいるだろうか。



仕事が出来て、当然のごとくバリバリと出世して、鬼部長のくせして、

整理整頓、お料理が得意で美人の彼女にフラれて泣いて、

突然会社辞めちゃうとか言ったりして


乗り物に弱くて、キスが上手で――

私の知っている部長はそんな人。


訳が分からない、つかみどころがない人。



そんな彼のことを知りたい、理解したいといくら思っても、彼は近づいた瞬間、またその色を変えてしまう。

とらえどころがなくて、戸惑ってしまう。不安になる……。


彼にその自覚はあるのかな。



「部長……」



呼びかけても、無言で私を見つめる黒い瞳に、ゾクッと背筋が寒くなる。


< 246 / 361 >

この作品をシェア

pagetop