上司と上手につきあう方法【完結】

私はそうささやいて、立ち上がると、ベッドルームへと向かい、毛布を取って戻ってくる。

そしてうつ伏せに寝転がったまま、眠っている部長の体を覆うようにかぶせて、床に転がった眼鏡をローテーブルの上に置いた。


本当はかついでベッドまで連れて行ってあげたいけど、もう私にその体力はないし。

明日は休みだから、大丈夫だろう。



鍵は締めて、新聞受けから落とした。


今日はいろんなことがあったけど、部長の衝撃で、朝陽に再会したことなんか忘れちゃったかも……。


唇はまだ鉄分の味がしたけれど、思わず頬が緩む。

そのままマンションを出て、タクシーを拾うために大通りへと向かった。




――――……




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