上司と上手につきあう方法【完結】
紗江子が眉を寄せ、心配そうにささやいたけれど、
「――な、なにも……」
としか答えようがなかった。
むしろやったのは私じゃなくて部長のほうなんだけど……。
とりあえず抱えていたバッグを置き、部長の背中を追いかけて、会議室へと入る。
部長は窓の外に目をやり入口には背中を向けていたから、その表情は読めなかった。
「あの……なんでしょうか」
キチンとドアを閉め、近寄りつつ、一応尋ねてみれば、
「――先週のことだ」
彼はそう短く応えて、肩越しに振り返る。
「正直、記憶がない」
「ああ……」
そうですよね。と言いたいのを我慢して、小さくうなずく私。