上司と上手につきあう方法【完結】

「あの、部長……お気になさらず……部長がお酒に弱いなんて知らなくて、私がどんどん飲ませちゃったんです」

「クッ……」



部長の肩がビクッと揺れた。

残念ながらどんなフォローをしても彼の慰めにはならないようだ。



「あ、ああ、そうだ、支払いもしてない……はずだ」

「いいですよ。もう」

「そうはいかない!」



部長は苦悩した表情のまま私を見上げる。


ああ……なんだろう。その顔を見ながら、部長って真面目なんだなって今さらながら思ったりして。



「じゃあ、貸し一つってことで」

「貸し借りは嫌いだ」

「でも今更お金をもらうのも、ちょっと……」



そうやって、返す、返さないの問答を数分繰り返しているうちに、部長はゆっくりと立ち上がって(けれど表情は険しいままだ)



< 37 / 361 >

この作品をシェア

pagetop