上司と上手につきあう方法【完結】
空いた口がふさがらない。
もう、本当に言葉が出ない。
盗人猛々しいとはこういうことを言うんじゃないだろうか。
言葉を失ってあ然としている私に、
「――話したかったのは本当」
朝陽は穏やかな口調でささやきかける。
額に散らばる、緩いパーマがかかった前髪の奥から、きれいな形のアーモンドアイがのぞき、輝いている。
彼の冷酷な本性を知らなければ、コロッと騙されそうな、誠実に見える容姿が心底恨めしい。
なによ、勝手なこと言って……。
私は会いたくなかった。話したくなんかなかった。
「もう好きじゃなくなった」なんて、ひどいこと言って私のこと捨てたくせに。
あのあとどれだけ私が苦しんだか――
本当に朝陽にはわからないんだ。