上司と上手につきあう方法【完結】
全部忘れたい。自分に残る朝陽の記憶を全て消し去りたい。
あのころの私は、何度本気で神様に願ったことだろう。
十八から二十歳までの二年間。
別れを告げられる直前まで、キラキラと輝いていたあの季節。
あれほど純真に朝陽を信じ、愛していた私は一度死んだのだ。
あれから六年経った今でも、私は本気で恋をすることは出来なかった。
朝陽は私の恋する心を殺した張本人だ。
大げさかもしれないけれど、朝陽はそのくらいのことをしたのだ。
「――じゃあ」
私は黙り込んだ朝陽を置いて、きびすを返す。
じんわりと涙が浮かんだ。横断歩道の人ごみが滲んで見えた。
朝陽はあとを追いかけては来なかった。
――――……