上司と上手につきあう方法【完結】

私がデスクに戻ってくると同時に、色めき立った紗江子がウキウキした表情で尋ねてくる。



「山本君、どうだった? どうも合コンの時から美琴のこと気に入ってるっぽかったから、これはって思ったのよねえ~」

「――置いてきた」

「ええっ!」



目を丸くする紗江子を無視して、私は荒々しく椅子に腰を下ろす。

そして厳しい表情のまま歯磨きセットを取り出し、もう一度立ち上がった私に何かを感じたのか、紗江子はそれ以上聞いてこなかった。


もちろん、聞かれたところで何も話すつもりはない。




同じフロアにある広々としたパウダールームへと向かい、ガシガシと歯磨きをする。


鏡を見ると、恐ろしく不機嫌な自分が見つめ返してくる。

と同時に、私のはっきりとした拒絶の言葉を聞き黙り込んだ朝陽の顔も、浮かび上がって、一瞬息の仕方を忘れそうになった。


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