上司と上手につきあう方法【完結】
あれだけ言えば、いくら人懐っこい朝陽だって、ただ懐かしいってだけで私に関わってこようなんて思わないだろう。
少し、言い過ぎたかもしれないけど……。
朝陽にどう思われたって、別にいい。いっそ嫌われて関わり合いにならないほうがマシってものだ。
それからなんの事件も起きず、週末、金曜日を迎えた。
部長も朝陽も、避けまくってなんとか、うやむやになりそうだった。
朝陽のことに関しては、正直「逃げ」以外の何物でもないのだけれど、いい大人になってまで、過去の傷を突っつきまわして傷つきたくない。
「美琴、帰らないの?」
隣の紗江子がパソコンを落としながら尋ねてくる。
「うん……これ区切りのいいとこまでやってから帰るよ」
キーボードを叩きながら、答える私。
パソコンのディスプレイには新しい企画書が映し出されている。