上司と上手につきあう方法【完結】
「それに、昔美琴が大事にしていた時計、俺が持ってる」
「……え?」
思いがけない一言に、一瞬凍りついた。
私が持っていた時計って――
「おばあちゃんからもらったやつ?」
「そう」
「ないって言ってたじゃない!」
大事にしていたSEIKOの時計を失くしたことに気付いたのは、六年前、朝陽に別れを告げられてからしばらくしてのことだった。
その時計はおばあちゃんから大学の入学祝に贈ってもらったもので、絶対に失くすことなんかできないもの。
もしかしたら彼の部屋にあるんじゃないかって思ったし、他に置いてくる場所も思いつかなかったから……。
木端微塵にフラれたあとだったから、声を掛けるのも辛かったのだけれど、大事なものだから勇気を振り絞って連絡をしたんだ。
だけど朝陽から即座に返ってきたメールは『知らない』の一言で、ショックを受けずにはいられなかった。