恋人たちのパンドラ【完】
「そ、碓井専務、離してください」

悠里は壮介の腕から逃れようと必死でもがく。しかし、壮介の拘束はゆるまることなく、むしろキツくなる。


「ダメ、壮介!本当にやめて」

強い口調で悠里が叫ぶと、やっと顔があげられるくらいに腕がゆるんだ。

「いつまで、俺からにげるつもりだ?」

壮介は腕から悠里を逃さないようにして、悠里を自分の方へ向かせた。


「こんなことしてどういうつもり?」

悠里はできるだけ強い口調で壮介を攻めた。

「お前が、逃げ回るからだろ」

そう言って腕の拘束が強まる。

「あれで、最後だって言ったじゃない。だから私…」

「状況が変わった。きちんと話をしよう。悠里」

腕の中の悠里の頬をなでる。

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