恋人たちのパンドラ【完】
「何も変わらないわ。私は約束を果たしたの。それで過去は清算されたはずだわ」

「その過去の時点からの間違いに気付いた。俺はそれをそのままにしておけない」

「過去は過去よ。決して私達の未来にはつながらないの」

「ちゃんと話してくれ、俺には知る権利がある」

「私には話さない権利があるわ!」

売り言葉に買い言葉が続く。

「話さないってことは、そこに何かあるからだろ」

指摘されて悠里はだまりこんだ。

「そうやっていつまでも黙ってたいなら、そうすればいい。逃げたいならにげればいい。だけどーーー」

「だけど俺はもうお前を逃がさない。同じ過ちは二度としない」

瞳にはその意思を表すような強い輝きがみえ、悠里はそれに無意識に吸い込まれた。

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