恋人たちのパンドラ【完】
「そんな・・・話が違うわ。最後だって言うから私」

壮介の瞳に見つめられて悠里は自分の心がぐらぐらと揺らいでいるのを感じていた。

「俺から二度逃げられると思うなよ。それにお前の身体は俺をちゃんと受け入れている。全身で俺が好きだっていってるじゃないか」

図星をつかれて悠里は返す言葉がなくなる。

「・・・なに言ってるの!」

そういって壮介のたくましい腕から逃れようと必死でもがく。

するとふいに、専務室のドアが開きそこには受付にいた美咲がお茶を持って立っていた。

「おい、勝手に入るな!」

「お茶をお持ちしたんですが、お邪魔でしたか?」

そう言い、美咲は二コリと冷たい笑顔を浮かべた。

美咲とのやり取りの間に壮介の腕がゆるんだ。その隙をついて悠里はドアへ向かいダッシュした。

「悠里!」


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