彼女のすべてを知らないけれど
恋愛話に関心を示せないを俺を前に、ミコトは腕を組み、片手をアゴにそえ言った。
「好きなコが欲しいなら、叶えてやるぞ? そのお守りで」
「さっきも言ったけど、使う気ないってば」
「むむむ……。何て言うのか……。強欲な人間も見てて飽き飽きするが、無欲な人間は無欲な人間で、じれったいものだなぁ。
神としての資質を問われているような危機感を抱いてしまう。これは、我の力量不足をありありと示す事態なのではないか……!?」
ミコトはじょじょに深刻な顔になる。よほど俺に命守流願望成就札を使ってほしいみたいだ。
俺は俺なりに神の心情を読み取り、
「今は、これといって使う予定はないけど、そのうち好きなコとかができたら、考えてみるよ。だから、そんなに気を落とさないで……」
「なっ……! 我ともあろう者が、人間に励まされてしまうとは ! なんたることだ!!」
しばし、ショックで放心していたが、ミコトは気を取り直し、俺の両手をグッとにぎりしめてきた。
「こんなこともあるのだな! 命守神社の初代神主も、そういう男だった……!
我は、これからもお前の家にくるぞ! いいな!?」
「うん、それは構わないけど。ウチ、ケーキや肉はほとんど買わないよ?」
「そこらへんは心配するな。我に任せろ」
最初、冷蔵庫の中を見てあれだけ文句を言っていたのに、ミコトはあっさり言うことを変えた。俺に対し、並々ならぬ興味や好感を抱いたっぽい。