彼女のすべてを知らないけれど
それからというもの、ミコトは毎日のように俺のアパートにやってきては、様々なおやつをテーブルに広げてくれた。
まんじゅうやケーキ、せんべい、緑茶の 茶葉など、神社へのお供え物が主だった。
「俺にとってはありがたいけど、よくこんなに、毎日持ってこれるね。無理してるならやめてね? 申し訳ないし……」
毎回毎回、遠慮がちにそれらを口にする 。おかげで食費が減りこっちは助かるのだが、何もしていないのにこんなに楽をしてしまうのも悪い気がする。そんなことは全く気にしていないらしく、ミコトはふんぞりかえった 。
「心配には及ばぬ。毎日、命守神社には参拝客からのお供え物が置かれるからな。我が手伝ってやらないと、然の家族だけでは食べきれんのだ。人助けと思って、快くいただけ」
「然も、大変なんだな……」
然にはまだ、ミコトと対面したことを話せていない。そのうち打ち明けなくてはいけないと思うのだが、タイミングが見つからない。
「来週は、サークルの飲み会かぁ……」
俺は考えた。大学生活はそれなりに忙しい。サークル活動や講義の時間だけで一日が終わってしまう。バイトをするとしても、週一働くのが精一杯だ。
一人暮らしも突然決めたことだったので、 他の一人暮らし学生に比べたら俺の仕送りは少ない。それでも、仕送りしてもらえるだけでありがたいとは思ってる。あれだけ一人暮らしに関して文句を言ってた母さんも、仕送りと一緒に手紙や野菜を送ってくれた。
いざって時に備えてちょっとくらいは貯金したいし、ミコトにも何かお返しがしたい。
学生生活を送ったりミコトと話して いる傍ら、俺はスマホで求人サイトを見るのがクセになっていた。
(ミコトと出会った日に、電波遮断は解除してもらった。警察に通報する気がなくなったと話してようやく、解除してくれたのだ。)