彼女のすべてを知らないけれど

俺の気持ちを察してくれたのか、然はこんな提案をした。

「探してみるか? ロシアンブルー。植木の中とか、奥まったところにいるのかもしれないし」

「いや、いいよ。そこまでは」

見つけられたとしても、撫でてやることすらできないかもしれない。

自分より先に死んでしまう命に、情は持 たないと決めたんだ――。


受け入れると決めたのに、俺はまだ、クロムの死を乗り越えられないでいる。

然はそこをよく理解してくれていて、「わかった 」と、短く返した。



気分を変えるためにも、生活のためにも、やはり、バイトするのが一番だ。

今より忙しくすれば、クロムのことも早く吹っ切れるかもしれない。

俺は、これまでより真剣になって求人サイトを見回った。

「これだ……!」

条件に合う求人を見つけた。

大学生大歓迎。週一勤務OK。時給千円。

願ってもない、厚待遇だった。
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