彼女のすべてを知らないけれど

猫が連れ去られた後に、別の誰かが段ボールに残されたお守りを盗んだ可能性もあるし、その逆で、お守りを持ち去られたのが先かもしれない。


俺は、激しく後悔していた。最期まで自分が面倒をみてあげると決めていたら、 こんなことにはならなかったのに。

また、大切なものを失うのが怖かった。悲 しみに胸を貫かれるのが怖かった。

でも、もう、そんなことは言っていられない。

世の中には、動物に興味のない人、可愛がる人、嫌う人、三種類しかいない。


今まで俺は、何を望んでいたんだ?

動物に虐待する人に怒りを抱いたのは、動物を大切にする世の中を願っていたからじゃないのか?

傷つくのを恐れて、それを見失っていたんだ。

クロムが生きていた頃も、天に昇ってからも、胸を焼かれる思いだった。動物 虐待のニュースを見るたびに。

自分の思考が何もかも正しいとは思わないし、世の中には自分と真逆の考え方をする人間がいるということも分かっている。

でも、どうしても許せないんだ。実験の ごとく動物を痛めつけ、その動画をイン ターネット上に公開する人間の思考が。

理解できないんだ、殴りたいくらいに。
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