彼女のすべてを知らないけれど
毎日、施錠はしっかりしていた。それなのに、帰ってきた時、鍵は開いていた。そこからして、もうおかしい。
ベッドには、見知らぬ少女。この子は、アルコールの摂りすぎで意識がハッキリしないままここにたどり着き、他の部屋と間違えて寝ているんじゃないだろうかとも思っ たが、酔っぱらっている感じもしない。
俺は、新歓コンパの時に、酒を飲みまくっていた先輩達がひどく酒くさかったことを思い出しながら平静を保とうとした。ここは、アルコールの香りなんて全くしない。
と、なれば、残る可能性はひとつ。ミコトが何かをやらかしてくれたのだ!
スマホの電波を俺限定で遮断させたり、自分の望み通りに物質を転移させる力を持つミコトなら、女の子ひとり連れてくることなんて朝飯前だろう。
それに、ミコトは、以前俺にこう言っていた。一人暮らしなんだから彼女くらい作って青春を謳歌しろ、と。
俺にまったくその意欲がないのを察してしびれを切らせた結果、こうしてお節介を焼いた可能性も高い。
「ミコト! どうせどっかから見てるんだ ろ? これはどういうことか説明しろぉっ」
部屋の中心に立ち、室内をグルリと見渡した。しかし、ミコトは現れない。