彼女のすべてを知らないけれど
掛け布団を直し、俺は彼女の身体が見えないようにした。
「ふぅ……」
いくぶん、気持ちは落ち着いてきた。まだ、頭がふわふわしているけれど、何とか、冷静さを取り戻せている。
どこかに、彼女の持ち物があるはず。そう思い、俺は辺りを見回してみたが、それらしい物はなかった。
そもそも、彼女が脱ぎ捨てたであろう服すらもなかった。 洗濯機の中を見てみたが、あるのは自分の洗濯物だけ。首をかしげ、俺はうなった。
「この子は、最初から服を着ずにここに現れたのか? いや、それだとおかしいぞ。裸で外をうろついてたってことになるし…… 。じゃあ、この子は一体……」
そんな時、バッグにしまっておいたスマホが大きな音を立てて鳴り響いた。
「はい! ああ、然……!」
慌てて出ると、相手は然だった。今日も、然と手分けして、ロシアンブルーの行方を探す約束をしていたんだ。
『ごめんな、まだ、見つからない……』
「そっか……。ごめんな」
俺は謝った。
「俺も、荷物置いたらすぐそっち行くつもりだったんだけど、説明しづらいことが起きて、今、アパートから出られないんだ……」