彼女のすべてを知らないけれど

然は、俺なんかよりずっと大人だと思った。

『その女の子のことは聞いてビックリしたけど、目を離したら何かまずそうな気がするし、湊はアパートにいてよ。こっちはこっちで猫探しとくから。どうせ今日は暇だしっ』

そう言い、然は電話を切った。

ありがとう、然。後で絶対に、合流するからな! 元々、俺が勝手に始めた猫探しだったんだから。

そんな、感動により高まった気合い
を数時間後に無にされるなんて、この時の俺はまったく予想していなかった。


女の子が起きるまでの間、アパートを抜け出すわけにもいかず、俺は部屋中を動き回って時間をつぶしていた。気持ちを落ち着けるって意味でも。

最近サボり気味になっていた浴室やトイレの掃除をしたり、女の子に見られたら恥ずかしい物も隠した。

掃除機は、うるさいからかけられない。仕方なく、コロコロとクイックルワイパーで床やカーペットのゴミを取った。

「よし!」

部屋中、見違えるくらいキレイになった。よどんでいた空気も、窓から入ってくる新しい風に塗り替えられ、清々しくなった。
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