生まれ変わる光



「すごい! これ全部ホタルなの??」


「ああ、そうみたいだ」


「うわぁ! すごく綺麗!」



今日の彼女は、本当によく笑った。


しかも今の彼女が見せているのは無理して作ったような偽りの笑顔ではなく、本当に心の底から笑っているような笑顔だった。

そして、ずっと僕が見たかった笑顔。




僕が彼女に、特別な何かをしてあげたわけじゃない。


それでも彼女の顔に笑顔が戻ったことが、何よりも嬉しい。


ホタルに感謝をしながら、目の前に広がる幻想的な光景を眺めていた。





――そんな時だった。

ふと彼女が僕の肩に頭を乗せて寄り添ってきたのは。




「本当に綺麗ね、とっても」



彼女は目の前で広げられる光景に、心を奪われているみたいだ。



「そうだね」



そう言いながら、彼女の細く小さくなってしまった肩を抱き寄せる。



なぜだろう。

ホタルの光は、やけに僕の心を落ち着かせてくれる。



おかげで余計なことまで考えずに済み、心は極めて穏やかだった。




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