偽りの婚約者
タクシーが停まって、揺り動かして声をかけたが、全然起きる気配がない。
料金を払って彼女を背負いながら、マンションの中に入った。
小柄で細身なせいかそんなに重くは感じず、何とか部屋に辿り着き。
中に入って靴を脱がせて、そのままベッドに寝かせ離れようとして違和感を感じた。
上着が何かに引っかかっているようだ。
確認すると、安西千夏が俺の上着の端をしっかりと握っていた。
フッ……子供みたいだな…ったく手間のかかる女。
掴んでいる指を一本ずつ外していくが深い眠りに入っているらしく起きる事はなく、そのまま眠り続けていた。