偽りの婚約者




お見合いまで、安西千夏と会うはずじゃなかったのにな。


……いや、かえって会えて良かったのかもしれないな……。



躊躇いながら彼女の服に手をかけた多少の罪悪感はあったが念のための証拠写真を撮った後、隣の部屋に移りソファーで一晩過ごした。



「……いてぇ……」


体が痛くて目が覚めたついでに安西千夏の様子を見ようと隣の部屋に入ると、彼女はもう起きていた。



「起きたのか?」


「……あ、あなた、誰ですか?」



やっぱり覚えてないか。
あれだけ酔っていれば当然か……。



「お前、昨日パーティー会場で動けなくなったのは覚えてるか?」



彼女は頷いた。



「タクシーをひろって乗せたはいいが、そのまま寝入っちまうし、お前の家は知らないから結局ここに連れて来るしかなかったんだよ」



「ものすごく迷惑をかけたみたいで……、すみませんでした」



「動けなくなるなら、もう酒は呑まない方がいいんじゃないか?」


「う、は、はい……。」



彼女はシュンとなって俯いてしまった。
流石に言い過ぎたか……?



「その、ものすごく聞きづらいですけど……」


俯いていた彼女は急に何かを思い出したように顔を上げて訊いてきた。



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