偽りの婚約者


お見合いの日、二度目に会った彼女は着物姿で。
この前とは雰囲気が違って見えた。



安西千夏は俺には全然気づく気配がない。



会った瞬間に何かリアクションがあると覚悟をしていたのに気付かないとは……安西千夏、鈍いんだな。



二人だけになり自分からバラした。


「着物、似合ってるよ。この間と感じが違ってまたいいな」


話しかける俺に怪訝な顔を向けてきた。



「俺の事、覚えてねぇの?」



「……初対面ですよね?」



「……恩知らずな女だな」



「???」



「俺が送って行くって言ったのに慌てて帰るから、これ忘れもの」



上着のポケットからハンカチを出しすと。





愛想笑いが消えて次に顔を青くしてオタオタし始めた。




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