偽りの婚約者
《今日は飲みたい気分なんだ。暇なら付き合ってくれないか?》
先輩に一緒に飲みに行こうと誘われた。
「へー、ここが東條の言っていたbarか。落ち着いた感じだし、いいじゃないか」
「飲みたい気分だって言っていたけど何かあったんですか」
「……あぁ、いろいろとうまくいかない事があってな」
「会社で何かあったんですか?」
「……まあな。ところで安西さんとはどうだ?」
「こっちも先輩と会わない間にいろいろとあったんです」
「それは穏やかじゃないな。いったい何があったんだ?」
「実は千夏の姉に手紙が送られて来たんです」
「手紙?」
手紙を書いたのが先輩ではないという確証がほしかった。
先輩の顔色を窺いながら話しを続けた。
「手紙には俺の事が書いてありました。まるで見ていたかのように今までの事が詳しく書いてあったんです」