偽りの婚約者
「主任が、奢ってくれるなら行ってもいいですけど」
ちょっと!!紗季さん……!!
たった今、行きたくないって首を振ったはずですけど。
「主任、私は遠慮します」
「何言ってるの、千夏も一緒に行くのよ」
「紗季さん?私、行きたくないって首を振ったのに分からなかったんですか?」
紗季さんに小声でそう言うと。
「大丈夫だって、私がいるんだし」
「でも……」
「そうだな。俺が誘ったんだし、たまには奢るよ」
「あの、やっぱりっ」
「やっぱり奢って貰うなら美味しいものが食べたいよね千夏?」
「はい」ってそうじゃなくて。
私は帰りたいんですけど……。
「奢るって言ったけどさ高級なとこは無理だからな」
「えー、じゃあ主任が行けそうなとこって?」
主任も紗季さんもどこのお店がいいとか、これから行くお店の事で揉めてる。
なかなか話しは決まらなくて、二人を置いて帰ってしまうわけにもいかないし、断れそうにない。