偽りの婚約者


「安西さんはどう?」



「美味しいです」



「そうか良かった」



あれからずっと二人きりにはならないようにと、主任を意識的に避けていたけど。
今、ここにいる主任はあの日の豹変する前の主任と何ら変わってないような気がした。



でも、たしかにあの日の豹変した主任も私の知らなかったもう一つの顔なんだと思う。



でも、今の主任のままだったら、こうして誰かと一緒にいるぶんには怖くはないし平気かも。



「近い内に経理課の飲み会をしようと思っているから 君達、予定を空けておけよ」



「来週末辺りを考えているんだけど?」


「私は多分、大丈夫です」



「安西さんも大丈夫そう?」


「はい」


「あとは他のみんなにも聞いて――――――」


食べ終わって外に出た。


「主任、ごちそうさまでした」

「とても美味しかったです」


「そうか、二人とも美味しいって言ってくれて良かった」








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