偽りの婚約者



腕時計……?
じゃあ……本当に紗季さんは……。


違う、東條さんがそんな事をするはずはない。
腕時計なんてあるわけない……絶対に違う。



東條さんを信じる。



「東條さんが、そんな事するわけないです」



「だから、さっきから言ってるでしょっ。自分の目で確かめてみなさいって」



「……分かりました。確めてきます」



テーブルに頼んだ分の代金を置いて立ち出口に向かおうとして呼び止められ振り返ると。


「時計が見つかったら東條君に返してって伝えてね」



紗季さんは馬鹿にしたような笑顔を見せてヒラヒラと手を振った。



< 222 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop