偽りの婚約者
「あった……」
出て来ないことを祈りながら探したのに……時計は見つかってしまった。
手にした腕時計を手にその場に立ち尽くす。
手の中の腕時計がキラリと冷たく光って見えた。
「探し物は見つかったか?」
いつの間にか後ろに来ていた東條さんは私の手の中の物を見た。
「腕時計……?」
本当に……紗季さんの腕時計が……
「千夏?」
「信じてたのに……」
腕時計なんてあるわけないって……。
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