偽りの婚約者



「……お前のお兄さんが、許さないだろう。きっとまた、邪魔される」



「……そうね。兄はしつこいから……兄があなたにしたことは最低よ。ずっと、ずっと謝りたかったの……、ごめんなさい」


「……俺の事なんて忘れろ。お前は今の婚約者を大切にしろよ。玲奈のお兄さんの秘書をしているなら、きっと余程できた人なんだろうな」



「そうね、あの兄の為に良くやってくれてると思うわ」


秘書の話しになった途端に、玲奈の表情が変わった。
そうかお前は……。



「俺に悪いと思ってるなら……今度こそ幸せになれ」



「雅人……」



「……会えて良かった。もう行くな。」



「……うん」



別れを済ませ、玲奈をその場に残し喫茶店を出た。









< 96 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop