ミッション#メロンパンを争奪せよ!
勢いで言ってしまったーーーーー!!!!

やばい、唯人君ポカン状態だ。
手の力が完全に抜けている。
今メロンパンを持っていたら落としてしまう。
つまりメロンパンを落とすことを気にしないほどのポカン状態だ。

い、勢いで言ってしまったものは、勢いで続けるしかない。
まだ好きとかそーゆーのは言ってないのだ。
憧れとは、人類における尊敬の意味で、全人類普通に所持する感情なのだ。
そうなのだ。
よ、よし。

「唯人君、いつもチャイムなったらピュンッて教室出てくでしょ?その走りに迷いがなくて、ただひたすらに目標を目指して。わ、私、いつも自分のしたい事とか言いたい事とか実行できなくて、消極的で、陰気で、地味だから友達もできなくて、できてもすぐつまんないって言われちゃって。だから、そ、そーいう唯人君のまっすぐなとこに憧れてたの!」

「………そ、それ。メロンパン、か、関係なななな、なくね?」
異常に照れてる唯人君。
カミカミです。
私も尋常じゃないくらい恥ずかしいけど。

「ゆ、唯人君みたいな人になりたいってずっと思ってて…。でも、どうしたらできるのかなって考えて。友達が欲しかったけど、いきなり話しかけたりしてビックリされたくないから。まず、クラスの人に自分はちゃんとここにいるって、示したくて。新島紗緒っていう命が、ちゃんと1-Dに存在してるっていいたかったの!!め、メロンパンに向かう唯人君みたいにしてみたら、インパクトあるかなーって…。メロンパンにも、興味あったし…。」
喋り終わった後、顔が熱くなってるのが分かる。
うう…、恥ずかしい。

「え?なんなの?な、なんなの?メロンパンは口実?食べたいの?食べたくないの?あれ?」
唯人君、次は顔を赤くさせながらパニック状態だ。

「い、今は!メロンパン食べたい!!だから、私は唯人君の敵になる事になる。…でもっ、完全的にライバルとして友好を築きたくないわけじゃなくて、えっと。えっと…わ!私とっ、友達になってください!!!」
ハァッ…、息が切れる。

言った!
言ったよ、私!!!

けど私の喜びを、唯人君が打ち砕いた。
「俺、敵に情けはかけたくない。」

ええええええええええええええ。
拒否!?ねぇ、拒否!?
私頑張ったのにーーー!!

ショックでカクーンってなる。
すると唯人君はカクーンってなったあたしに手をさしのべる。

「負けないからな、戦友よ。」

…!
「う、うん。私だって!!」
唯人君の手を握った。


今日から私は、唯人君の戦友です。

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