真夜中に口笛が聞こえる
「めずらしいな。一軒目から気に入るなんて」
「そうかしら」
美咲が数軒しか見ないで、気に入った、と言ったことはなかった。妻は最後に感想を言うタイプの女だ。
「今、そっちに行くよ」
ベンチから立ち上がり、公園の向側の家が目に入った。
売り物件ではない。元々建っていた家のようだ。
古くもない平屋に、プランターがところ狭しと置かれ、色とりどりの草花で囲まれている。
花には詳しくない信一郎だったが、それが綺麗なことぐらいは分かる。
食べられそうなものが植えられてなさそうなので、どうやらこの家の人間は、とにかく花が好きなのであろう。
信一郎は再び、白い家の方を向いた。
玄関に回って、中に入った。
「美咲、どこだ?」
玄関は吹き抜けで、圧迫感がまるでない。内装は外の色と同様に、上品な白で統一されていた。
「信ちゃん、見てよこのキッチン。こっちこっち」
「おいおい。行くから靴をキチンと脱がせておくれ」
美咲がどこからともなくやって来て、信一郎の腕を引いた。
モデルハウス慣れしている妻が、こんなにも心踊っている姿をみて、信一郎も嬉しくなった。
「そうかしら」
美咲が数軒しか見ないで、気に入った、と言ったことはなかった。妻は最後に感想を言うタイプの女だ。
「今、そっちに行くよ」
ベンチから立ち上がり、公園の向側の家が目に入った。
売り物件ではない。元々建っていた家のようだ。
古くもない平屋に、プランターがところ狭しと置かれ、色とりどりの草花で囲まれている。
花には詳しくない信一郎だったが、それが綺麗なことぐらいは分かる。
食べられそうなものが植えられてなさそうなので、どうやらこの家の人間は、とにかく花が好きなのであろう。
信一郎は再び、白い家の方を向いた。
玄関に回って、中に入った。
「美咲、どこだ?」
玄関は吹き抜けで、圧迫感がまるでない。内装は外の色と同様に、上品な白で統一されていた。
「信ちゃん、見てよこのキッチン。こっちこっち」
「おいおい。行くから靴をキチンと脱がせておくれ」
美咲がどこからともなくやって来て、信一郎の腕を引いた。
モデルハウス慣れしている妻が、こんなにも心踊っている姿をみて、信一郎も嬉しくなった。