最後の血肉晩餐
 その時、水を差すようにけたたましく電話が鳴った。嫌な予感がした。すぐに充先輩が受話器を取っていた。


「はい、はい……わかりました。これから向かいます。」


充先輩の話を聞いていると、やっぱり泊りが入ったようだった。チンと電話を切った後、充先輩は眉間にしわを寄せ、こちらを向いた。


「北川、早稲田の病院にいくぞ。そろそろ例のやつ、やばいそうだ。忙しくなるぞ!」


一瞬、充先輩の顔がにやにやしたように感じがけど、気のせいかな? 仕事がはいったからかな――。


まだ死に対して、仕事と割り切れるのは半々だった。俺はワゴン車を運転し、充先輩、諸々の道具を乗せ出発した。


まるで俺たちは死神のようだ。死を刈り取る黒服の男達だ。


みんなに仕事は? と聞かれると、いつも引けた気持ちで葬儀屋と答えたものだ。
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