最後の血肉晩餐
 机の上に頭を伏せて、眠りそうになっているお父さんに声をかけた。むくっと、顔をあげると真っ赤な顔をし、かなり酔っ払っているようだ。


「俺は……優香の素の部分を、奥底にある心も、なにも見えていなかったんだ。あんな馬鹿男と同棲したり、悔やんでも悔やみきれん……ぅぅううう」


お父さんが泣き始めてしまった。年齢を重ねて刻まれてきた、貫禄のあるシワがもっとしわくちゃになっていた。



「お父さん、せめて良い葬儀にしましょう。明日もありますし、もうお酒は駄目ですよ。立てますか?」


「うううううう……」


「貴方……」


心配そうにお母さんは見ていた。俺は水を汲みに行き、お父さんに差し出した。
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