最後の血肉晩餐
 マグロの食欲を引き立てる香ばしい匂いと、亮君の唇が、微かに私の耳に触れ、性欲を掻き立てられるこの思いとで、ノックダウン寸前だった。


なんだか恥ずかしくなって、箸でマグロステーキを切り刻み口へ運んだ。


「美味しい! お肉より柔らかいし、ジューシー! 亮君の料理は天下一品だよ! あはっ」


あまりの美味しさで笑いがこぼれる。ワインもどんどんすすんでしまう。


「すっごく作りがいがあって、恵美さんといると楽しいよ」


今度はそっと茶碗蒸しを置いた。イケメンで料理上手。こんな人と結婚できたら、歳を重ねあっても飽きなさそう。


私はいつしか、亮君との将来の絵図を頭に浮かべていた。
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