最後の血肉晩餐
 こりゃうめぇの蟹味噌豆腐はお気に入りだったから、別に良いのだけど、私から言い出さないと、やっぱり駄目みたい。残念。


席に着いてから、口に出してみた。


「昨日、誕生日だったの。覚えてた?」


友介は驚いた表情を一瞬し、すぐさま隠して、勿論覚えてたよって、普通に言った。


運ばれてきたワインボトルの栓を開け、グラスに注ぎ、まずは一気に飲み干した。友介は生の中ジョッキーを飲んでいた。


「プレゼントとかあるの?」


一瞬考えてるのがわかる。


「旅行とか行こうかな~って思って……もしくは、恵美の山梨の別荘にまた行かないか?」


取ってつけたかのように、聞こえた。相手にも自分にも、美味しい話をこの人はいつも持ってくる。
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