最後の血肉晩餐
 ――ゴフッ


今度は拳が一発、鼻に飛んできた。つぶれてしまったのかと思った。


日本酒の匂いから血の匂いに変わった。


鼻血がでてしまったらしい。周りの人達は驚いて、そさくさと誰一人、いなくなった。


私のことを……誰一人、助ける者がいない。


「また眼を離した隙に、他の男に手を出したのか?」


「な……なんで私を信じてくれないの? あっちが勝手に私の腕を掴んだんだよ? 助けてくれるかと思ったのに……なんでよ!」


亮はさっさと席に戻り、無言で精算の準備にレジに向かった。


私は席のおしぼりを奪い、鼻を押さえてながら亮の後を追いかけた。
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