最後の血肉晩餐
「もしかして、俺と別れたいの?」


今度は私が無言になってしまった。言い返す言葉を頭の中でフル回転させて探している。


それはやっぱり、別れる以外の言葉だった。でも思いつかない。


「おい! 聞いてるのか!」


亮は急に立ち止まって、振り返った。その表情は細く鋭く、赤い眼が闇で光っていた。今まで見たことのない悪魔のような表情だった。


「まだわからないようだな!」


私はおしぼりで鼻を押さえていたが、関係なしに亮は私の黒髪を掴んで、茂みに引っ張った。


「やめて! 痛い!」


鼻だけではなく、脳天にも痛みが走り、髪の毛が全部抜けてしまうかとも思った。
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